俺様先生と秘密の授業【完全版】
「ほい、そこまで。
 何も学生が夜中に出て行く必要なんざない。
 俺が責任持って良いサーキット場を提供してやるから。
 そこで、三人のうち、一番速いヤツは、誰か勝負しょうぜ?」

「三人?
 ダーリンと岸君とアトは……?」

 カッキー?

 って、振り返った伊井田さんに、あたしは、激しく手を振った。

「まさか。
 最後の一人は、どうせ、先生でしょ?」

 偉そうなコト言ったって、結局一番走りたいのは直斗だ。

 ええ~~!?

 早瀬倉先生、バイク乗れるんですかぁ?

 なんて言う伊井田さんに、直斗はぶいっと指を出して、胸を張った。

「ま、俺が一番速いのは、目に見えているけどな」とか言ったりして!

 全くガキなんだからっ!

「と、言うわけで吉……じゃなかった。
 猛。
 バイク同好会入会、決定」

「そんな、勝手な!」

 直斗にちゃっかり言われて、吉住さんは、口を塞いだ手をはがして、抗議した。

 けれども、そんなこと、直斗が聞いているハズも無く。

 先生は、笑う。


「ま、そう怒るな。
 代わりに俺が、これから。
 昼間走る楽しさってヤツを教えてやるから」




 
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