俺様先生と秘密の授業【完全版】
「それで、愛莉ちゃんは、バイク同好会に入ったの?」
その夜。
あの、熱を出した時以来。
久しぶりに帰って来た兄貴と一緒に、夕ご飯を食べていると。
兄貴が、複雑な顔をして聞いて来た。
真ん中に果物と花が飾ってある、ゆっくり十人は座れる広いテーブルだ。
本来なら、長方形の長い方の端と端に座り。
給仕係りさんに次々に食事を持って来て貰うタイプの、二人がけのテーブルなんだけど。
根が庶民のあたしたちは、お互いの顔が遠くなることと。
コックさんと給仕係りさんを立たせたまま、食事をする環境に、どうしても慣れず。
兄貴の斜め前。
手を伸ばせば届くぐらい近い所に、今回食べる分を一度に運び。
あとは終わるまで、出て行って貰っていた。
豪華な食堂で食べる、最高級の食事だけれど。
別にテレビが、置いてあるわけじゃなく。
一人で黙々と食べるのは、好きじゃなかったから。
久しぶりの兄貴とご飯が嬉しくて、学校で起きたことを全部話した……んだけど。
兄貴は、面白がってはくれなかった。