俺様先生と秘密の授業【完全版】
「直斗が真面目に仕事してるんだ。
 先生には、ぜひ自分の信じた道で頑張ってほしいけど。
 同好会、なんて余計な課外授業をして。
 もし、吉住が闇社会から足を洗う、なんて言い出したら結構痛いな。
 ……しかも、こんな忙しい時に」

「……兄貴?」

 せっせと動いていた、フォークを止め。

 つぶやく、兄貴の声色が、何だか、怖い。

「先生、って、直斗の事だよね?
 吉住さんが、水野小路会を辞めてほしくないからって。
 今のうちに潰しとく、とか言い出さないわよね?」

「まさか。
 本当に、吉住が辞めてしまうことは、あり得ないし。
 話の判らない、ただの教師なら闇討ちの一つも入れていいけど。
 相手が『直斗』だからな」

 なんて、言って兄貴は、肩をすくめたけど……

 もし、兄貴とつるんでなかったら。

 闇討ちが入るかもしれないほど、危険な位置に直斗は居るってこと……?

 思わず、ぞっと首をすくめたあたしに。

 兄貴は、愛莉ちゃんの悲しむようなことはしないよ、って手を振った。

「でも、同じ仕事をするなら。
 是非、僕の目の届かない所でやってほしいよね。
 確かに、愛莉ちゃんのコトをよろしく、とは言ったけど……
 僕はともかく、血の気の多い奴が間違って行かないように、狼からは、手をひいてほしいなぁ。
 天竜組の幹部候補、なんておススメだよね……って、もう居るか」

「……岸君のコト?」
 


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