俺様先生と秘密の授業【完全版】
 あたしが、そう、息をついた時、だった。

 屋上の扉が、ガチャンと開いて、一人の男子が入って来た。

 細身の長身を、猫背気味にして、歩いて来るのは……岸君だ。

 髪の毛を半分だけ上げている彼は、あたしの姿を見ると、ひょいと、手を上げた。

「やあ。
 加月さんは……ここにいたんだね」

 なんて近づいてくる岸君を見て、伊井田さんは、ばしばしあたしの背を叩いた。

「ウワサをすれば、彼じゃない!
 ほら!
 色々と頑張んのよ!」

 って、言うと。

「邪魔者は、消えるから~~
 ごゆっくり~~
 おほほほ~~」

 なんて、笑う。

「ち……ちょっと、伊井田さん!」

 何を頑張るって!?

 そう、言ってる間に、伊井田さんは、出て行った。

 まったく、もう!

 そんな、彼女を見送って、岸君が言った。

「えと……
 伊井田さんには、何か、気を遣わせちゃったかしら?」

「いいのよ、別に。
 ……それより、岸君。
 今日の同好会、もう終わったの?」

「……それが、ね」

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