俺様先生と秘密の授業【完全版】
「……俊介が、とうとう告ったか……?
 お前たち、やっぱり従兄妹同士だったんだな」

 落ちたタバコを、拾ってゴミ箱に捨てると、直斗がしみじみ言った。

「それで、愛莉は?
 俊介と岸のどちらと付き合うコトにしたんだ……?」

 ……なんて。

 完全にヒトゴトな、直斗の言い草に、あたし、ぷちっとキレた。

「兄妹か、従兄妹かなんて、まだ判んないわよ!
 だけど……っ!
 兄貴の火みたいな想いがすごく熱くて……怖くて……大変だったんだから!」

 妖しく光った兄貴の瞳と。

 引き裂かれてしまったブラウスを、思いだして、あたしは、ぶるっと震えた。

「……それで、愛莉はびっくりして拒否ったのか?」

「だって、まさか。兄貴が……」

 ……あんなふうに『オトナ』になってるとは、思ってなかったし。

 でも、一番ショックだったのは。

 本当に、思いつめて口づけて来た、兄貴のキス、じゃない。

 相談した伊井田さんも、岸君もすごく簡単に。

 キスの先を『すれば?』とか『しよ?』とか言って来た事だった。
 
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