俺様先生と秘密の授業【完全版】
「……え?」

「そもそも、赤ちゃんってどうやって出来るか知ってるか?
 俺は、授業で教えたはずなのに、どいつもこいつも軽く見やがって。
 避妊だけしておけばいい?
 ふざけんな。
 コンドームでの避妊率は九十%だって言ってても。
 実は、正しく使っても十回に一回はヤバいってことだ。
 相手がどんなに好きでも、それだけで。
 何の覚悟もなくヤりゃイイってもんじゃない」

 言って、直斗は、タバコの火を押しつけるように消した。

「セックスをするからオトナになるんじゃねぇ。
 それは、ガキの遊びじゃ済まないほど、責任あるコトだから。
『オトナの象徴』っていうヤツなんだろ?
 そこを、間違えんじゃねぇぜ?」

「……」

「俊介は、かなり前から愛莉のコトを好きで。
 ……でも、言いだせなくて、ずっと悩んでた。
 岸には、岸で『事情』がある。
 もし愛莉に迫ったんだとしたら、焦ったんだろうな。
 どっちもお前に真剣で、本気なのは俺が保証する」

 ……けれども。

 二人とも、自分の感情を優先して先走りすぎて。

 本当に愛莉自身のコトを考えられるほど、余裕が無いんだ、と。

 直斗は、ため息をついた。


< 224 / 362 >

この作品をシェア

pagetop