俺様先生と秘密の授業【完全版】
 
「うわわわっ……!」

 あたしの声があまりにも大きかったらしい。

 耳を押さえて、一瞬のけぞった直斗を睨んで、あたしは、叫ぶように言った。

「あたしのコトが好きなら。
 好き、だと思ってくれたなら、一言、言ってくれればよかったのにっ!」

 最初に直斗に、出会ったときは、その、キレイな顔に、驚いた。

 次に、年の割にはだいぶ子供(ガキ)っぽい、俺様な言動に、別の意味で、驚いた。

 そして、今。

 本当は、オトナの真実(ココロ)を隠してた事に驚いた。

 側に、居ると、くるくる変わる直斗のイメージに、驚きっぱなしだったけど。

 ずっと、あたしだって、思ってた。

 好き、って。

 直斗のこと、大好きっって!!

 だけども、直斗の愛情表現が、判りづらかったから、すごく、すごく悩んだじゃないっ!

 それに。

「……直斗、言うの、遅すぎ……」

 あたしの初彼は、岸君になり。

 ファースト・キスは、兄貴に、持ってかれちゃったじゃないの……

「直斗の、莫迦……」
 
 涙が、あふれて、止まらないじゃないの……よ。
 
< 226 / 362 >

この作品をシェア

pagetop