俺様先生と秘密の授業【完全版】
「うわわわっ……!」
あたしの声があまりにも大きかったらしい。
耳を押さえて、一瞬のけぞった直斗を睨んで、あたしは、叫ぶように言った。
「あたしのコトが好きなら。
好き、だと思ってくれたなら、一言、言ってくれればよかったのにっ!」
最初に直斗に、出会ったときは、その、キレイな顔に、驚いた。
次に、年の割にはだいぶ子供(ガキ)っぽい、俺様な言動に、別の意味で、驚いた。
そして、今。
本当は、オトナの真実(ココロ)を隠してた事に驚いた。
側に、居ると、くるくる変わる直斗のイメージに、驚きっぱなしだったけど。
ずっと、あたしだって、思ってた。
好き、って。
直斗のこと、大好きっって!!
だけども、直斗の愛情表現が、判りづらかったから、すごく、すごく悩んだじゃないっ!
それに。
「……直斗、言うの、遅すぎ……」
あたしの初彼は、岸君になり。
ファースト・キスは、兄貴に、持ってかれちゃったじゃないの……
「直斗の、莫迦……」
涙が、あふれて、止まらないじゃないの……よ。