俺様先生と秘密の授業【完全版】
「ね~~みんな。
 わたしを無視して、何を話してるのよ~~」

 なんて。

 のんきに騒いでいる伊井田さんを、吉住さんは、にっこり笑って、ベッドに誘う。

 本当は、すごくイヤなんだろうけれども、他に案のない直斗は苦い顔をしていた。

 唇をかみしめている直斗の顔を、チラリと見た伊井田さんの方は。

 こんな所じゃ雰囲気出ない~~とか。

 保健室にベッドは三台あるけど、カッキーも、一つ空いた隣のベッドに居るの?

 わたしたち、お手本?

 それとも一緒にするの?

 なんて騒いでも、全く嫌がらず。

 むしろ、自分から、積極的にベッドの上に飛び乗った。

 そして。

 制服のブレザーのネクタイを外して、吉住さんを手招きする。

「ダーリン、おいで?」

 ダーリン、なんて簡単に言うけど、伊井田さんは、吉住さんの事、どれだけ気に入っているんだろう?

 それは、判らないけれど、確かなことは。

 伊井田さんは、吉住さんの事をダーリンだと言っても。

 吉住さんは、伊井田さんの事、ハニーだなんて、ちっとも思ってないって事だ。

 ……なのに。

 吉住さんは、上着を脱いで、ベッドの中に滑り込む。

 それを見て、あたしは、吉住さんに言われたとおり。

 二人の乗ったベッドの下に潜り込むと、アタマから布団をかぶった。

 と。

 それとほぼ同時だった。

 天竜組がやって来たのは。




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