俺様先生と秘密の授業【完全版】
 
「何が起こってるの?」

 回りの大騒ぎに、さすがの伊井田さんも不安になって来たらしい。

 ぎしり、とベッドを鳴らして心配そうな声を出した。

 その声に、吉住さんが答える。

「しっ、黙れ。
 守ってやるから、何があっても声を出すな」

「本当……?」

 嬉しそうな伊井田さんの声に、下で聞いていたあたしは、そつと、ココロの中で謝った。

 ……ごめんっ!!

 あたし……このままで、良いのかな?

 隠れれば、隠れるほど、学校への。

 生徒たちの、被害が大きくなってくる。

 中学の時みたいに、積極的にあたしをイジメる人はいなかったけれど。

 ココロの弱い、岸君を酷く構うヒトビトがいて。

 そんな彼がピンチの時、誰も手を貸してはくれないクラスメートたちが通う学校だった。

 だからって、あたしも。

 みんなの陰に隠れて。

 伊井田さんを囮にして。

 黙って、息を殺していれば、いいの……?
 

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