俺様先生と秘密の授業【完全版】
「っ、痛いな!
 何するのよっ!!」

 その痛みに、思わず怒鳴れば。

 早瀬倉先生は、すぃ、と目を細めた。

「お礼は?」

「なによっ!」

「梢城高等学園(しょうじょう こうとう がくえん)、二年A組、加月 愛莉(かつき あいり)さん~~
 ヒトに親切にしてもらったら『ありがとう』って言うように小学校とか、中学校で習わなかった?」

 なにコイツ!

 マジで言ってる!?

 早瀬倉先生は、ちょっとそこらにいないほど、キレーな顔してっけど……

「ウザっ!」

「ウザぁ~~?
 おい、お前。
 それ、本気で言ってる?」

 もちろん本気なんかじゃなく。

 ほとんど口ぐせになっているヤツが、滑っちゃったみたいだけど。

 なんか照れるから、言い訳なんてしないもんねっ!

 先生が嫌がっていることを承知で、あたしは意地を張っちゃった。

「ウザいから、ウザって言ったんだもんっ!
 だいたい保健のセンセって。
 生徒の病気とか、ケガとか治すためにここに居るんじゃん。
 仕事をくれた生徒に、そっちがお礼を言えばいいでしょ?」

「なんだと、こら!」
 


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