俺様先生と秘密の授業【完全版】
 どんなにわがままを言ったって。

 おもちゃみたいに、けちょんけちょんにしてやっつけても、怒らないのは。

 早瀬倉先生が、あたしのことを手のかかる妹だとでも、思っているから。

 ……そんなの、判ってるし。

 あたしだって、先生のコト好きじゃないもん。

 顔が良くて。

 保健室にいる間の世間話だけは、あたしの気がすむまで、ずーーっと聞いてくれるけど。

 他にどっかに遊びに連れて行ってくれるわけでもなく。

 何も気のきいたことができない、先生なんか。

 伊井田さんと、キスなんてしてる直斗なんか……っ!


 だいっきらい!
 

 勝手にあふれてくナミダを、保健室の扉にぶつかったから、のせいにして。

 あたしは、ほとんど小走りに、学校の裏庭目指して歩いてく。

 そこだったら、昼休みには、誰もいないはずだから。

 泣き顔も。

 一人でお弁当を食べるところも見られずに、ゆっくりできるはずだった。

 
 ……のに。
 

 裏庭に飛び出す寸前。

 あたしは、誰かに、ぶつかった。



 


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