俺様先生と秘密の授業【完全版】
 多分。

 真っ赤になってる。

 そんなあたしの頭を、ぽんぽん、と軽くたたいて、岸君が言った。

「そろそろ、上着を見せてくれないかな?」

「あ……っ!
 うんっ! はい」

 そ、そうだった。

 ぼうっとなんて、している場合じゃなかったよ。

 あたしは、慌てて、上着を出して見せた。

 けれども。

 袋から出た上着を広げたとたん。

 にこにこ笑っていた岸君の顔が、急に険しくなった。

「どうしたの?」

 まるで、電池の切れたおもちゃみたいに。

 上着を握りしめたまま止まっている岸君が、とても変だ。

 恐る恐る訪ねると、岸君は、怖い声を出した。

「この服。
 どこで、手に入れたの?」

「え? えと……
 なんで?」

「この上着は、暴走族、沈黙の狼っていうチームの本物の上着じゃないか!
 しかも、トップ4-1(フォー、ワン)だと?
 本当は、吉住っていうヤツが持っているはずなのに、なんで、加月さんが、持ってるの……!」

 え?

 なんでって……!

 岸君こそ、どうしてそんなに詳しいの……!



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