びぃだま

教室に入るとほとんどの女子が心配して近づいてきてくれた。

「大丈夫?」
「保健室いけなくてごめんね」
とみんなが話しかけてくれた。

あたしは「大丈夫。でも早退」
といって苦笑いしながらロッカーに向かった。

バッグを持ち上げると、もう教科書が入っていて重くなっていた。

「誰がいれてくれたの?」

女の子達のほうをみてあたしは言った。

「あっ うちがいれといたよ」

香奈が笑いながら言った。

「ありがと」

バッグを肩にかけながらあたしは言った。
顔は笑っていても心もなかは違った。

香奈はすごく優しい親友。

だけど心の奥の扉をあければその部屋は“憎しみ”のかたまりがあるのだろう。

でも相手が香奈だから憎しみが大きくなるばかりでその扉の鍵をあけることができなかった。



  
     臆病なヤツ

    そんなことを思うかもしれないけど何もできなかった。


今、誰かに相談したら香奈とは一生目をあわせることができなくなるかもしれないから


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