丘の上より

雨脚





健史は大きなため息をつきながらバス停まで下りていっていた。





―――アクマ…





道路に流れる車のライトが滲んで見えた。





健史はアクマが引き止めてくれると信じていた。



―――まだ、早いのではないのでしょうか?



と笑って断ることを促してくれると思っていた。





しかし、アクマへの愛で積まれた期待は儚くも破れた。
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