丘の上より
学生服のポケットから、携帯を取り出し、電話帳から『都丸ゆきの』のページを見る。
電話番号欄を開いて決定ボタンを押そうとする…
―――まだ…、アクマを好きでいていいのだろうか。
都丸さんを愛す一方で、アクマをまだ諦めないでいいだろうか。
それは許されることなのだろうか…
健史はバス停の前に立ち、大きなため息をつく。
―――ずっと好きだった。
彼女が自分に初めて微笑んでくれたとき、恋に落ちてしまったのだ。
それから、彼女のために…
彼女に会うために通う。
それは、1日で一番幸福な一時…。
―――今も愛したままでいたい。
ずっと好きでいたい。
…叶わぬ、恋だが。