丘の上より
夕焼け越しに見た、アクマの微笑む姿は忘れない。
―――アクマにまだ何も伝えてなんか、いないんだ!
ふいに、今までを思い返しているときにこの重要なことが思い浮かぶ。
――そう…
健史は一度もアクマに自分の気持ちを正直に話したことがなかった。
「…こうしちゃいられない!」
ベッドから起きて、玄関を勢いよく飛び出した。
―――目指すはアクマのいる丘へ
雨は健史にふりかかってきたが、健史は何も気にせずにただ、アクマのもとに走りだした。