丘の上より



――丘に着いたとき、いつもと変わることないアクマの後ろ姿があった。





「…アクマ。」




その後ろ姿に見とれながらも彼女の名を呼ぶ。



彼女は恐る恐るこちらを振り返った。







「―――…たけし?」







気のせいだろうか…?




アクマの瞳とまぶたが少し赤くなっている…。





「…どうして!?帰ったはずじゃ…」




「―――帰ったよ。…帰ったけど今、アクマに会いたかったんだ。」





アクマは目もとに手を当てた。




―――それはなんだか、まるでアクマが泣いた涙を拭いたようだった。





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