丘の上より
「忘れないよ…。てゆうか、忘れられないよ」
健史はぐっと拳を握り締める。
「だって、俺が忘れたらアクマがその時いた証拠がなくなっちまうだろ?!たとえアクマが死んでても、ここにいたことくらい残したいだろ!」
いつのまにか、 泣いていた。
大粒の涙を流して…
「―――…俺はあんたが大好きだったことも忘れるのは辛いよっ!」
健史は涙を襟元を掴んで拭いた。
「俺はアクマが大好きなんだよっ!」
「―――でもっ!あなたが私を忘れないとこれから愛す人に迷惑でしょ?」
アクマも少し大きな声をあげた。
「…私は健史とその子の恋を邪魔したくないのよ!だからお願い、私を忘れて!!」
気が付いたら、アクマは正面から健史を見ていた。
健史はさっき拭いたはずの涙がまたこぼれそうだった。
「―――わかったよ…。」
健史は淋しそうな目をして呟いた。