丘の上より
「――アクマぁぁ!!」
さらに大きい声が、さっきよりも遠くから聞こえる。
「ぼく、アクマ大好きだよ!」
その言葉をどんな顔で叫んだのだろうか。
アクマは想像する…
照れながら…だろうか。
真面目に…だろうか。
それとも、口いっぱいに開けていてそれどころではなくなっているだろうか…。
さまざまな健史が浮かんできた。
私も何か言わなくては――
「私もだよ。」
その声はか細く、健史に伝わったかどうかは微妙であった。
それでも、アクマはよかったと思っている。なんだか、心がすっきりしたようだった。
――今日は今までにない感情が体験できましたよ。
目を閉じて、アクマは心の中で呟いた。
『そうみたいだね、よかったね。』
どこからかアクマの中に届いてきた。
――はい。
アクマはうっすらと笑みを浮かべた。