そらからのてがみ
ある日の帰り道

同じ高校へ行こうと
僕は言った

それを静かに聞いていた君は
少し寂しそうに見える笑顔を浮かべながらも
小さく頷いて
応えてくれた

その笑顔の意味は解らなかったけれど

その事実が
ただ純粋に嬉しくて
僕は君にばれないようにはしゃいでいた

君と同じ高校に行く為にどれくらい
勉強しなきゃいけないのか

とか

どれだけ君と
一緒にいる時間が増えるのか

とか

僕は考えながら
空を仰ぐ

冬の空は高く
空気は澄んでいた
木々から葉が舞い落ち
道を埋め尽くす
吐く息もだんだんと白く染まっていく

僕の心の暖かさとは裏腹に
冬が
いよいよ猛威をふるおうとしていた
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