そらからのてがみ
あんなに
時間を費やしたというのに

その日は
面白いくらい
あっという間に
終わってしまった

あまりに
あっけない終わりに

すべてが終わったという実感がないまま
試験を終わらせた僕は

校門で待ち合わせをしているはずの君を捜す

そこは
帰る人たちで
ごった返している

それぞれが
何かしらの想いを胸に
今日まで頑張り
そして終わりを迎えたのだろう

勝手にいろいろと考えながら

僕は
小さな君を
ゆっくりとした足取りで捜す

きっと君は
人ごみに
埋もれてしまっているのだろうから

君を捜し始めて
少し経った頃

不意に感じた
後ろから引っ張られる感覚に
僕は足を止める

顔だけで
後ろを振り返ると
君がいた

僕の鞄のヒモにしっかりと手をかけ
少しあがった息を
整えるように深呼吸をすると

僕の方をみて
笑顔になる


「背が高いっていいね
すぐ分かっちゃった」


嬉しそうに君が言う

おそらく
僕の方を捜してくれたのだろう

僕の背は
同じ年代の人たちの中で頭一つ分高い

よく友達にも
人混みの中で目印にされたものである

そのことを君に話すと
いえてる

うなずかれてしまった
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