◆兄貴の彼女◆
「ん?…夕斗?」
そこへ、たまたま通りかかった美佳が俺たちに気づいていた。
それと同時に、俺の指に何かが引っかかった。
俺はそれを持ち上げて、俺は確かめた。
赤い、石。
ペンダント!
「あ…あった…あった!」
彼女は、信じられないって顔で俺に近づいてきた。
「ほら」
俺は、彼女にペンダントを渡した。
彼女はペンダントを手に取ると、そのまましゃがみこんでしまった。
「お、おい…大丈夫か?」
そして、そのペンダントを強く握り締め、信じられないことを口にした。
「せんせい。神崎……せんせい。ごめんな……さい」
神崎……せんせい?
って、やっぱり……あの時兄貴のお墓で見た……あの。
俺は何も聞けなかった。
聞いてはいけない気がしたから。
それと同時に、俺を呼ぶ声が聞こえた。