◆兄貴の彼女◆
学校に行くのもちょっと面倒だったけど、行かないと父さんと美佳が黙ってないからな。
俺は、授業中の教室に忍び込んだ。
――ガラ。
静かにドアを開け、静かに自分の席へ移動する。
「神崎!」
――ビクッ!
「は、はい……」
っち、バレたか。
「神崎!遅刻の理由、話は聞いているから早く席に着きなさい」
「は、はい」
話?
何だよ、遅刻の理由って。
俺は首を傾げ、自分の席に向かおうとして前を向き直した。
だけど俺は、目の前にした光景にカバンを落とす。
「え……」
兄貴、やっぱ俺達……必然的な出会いなのか。
そのには、あの人がいた。