◆兄貴の彼女◆
あれから、授業には全く集中できない。
これは……チャンスなのか?
聞けって事なのか。
こんなにも偶然な出会いは、もはや必然にも思えてくる。
こんな事ばかり考えてて、あっという間に昼休み。
昼休み、藤沢は教室には居ない。
どこ、行ったんだ。
「ねぇ、夕斗?」
俺の様子に気づき、美佳が話しかけてくる。
「なに?」
「朝から様子、おかしいよ?昨日の子が気になるの?」
「は?」
「転校生の藤沢さんよ!」
美佳に図星をつかれ、なんでか必死に抵抗。
「は?何言ってんだよ。別にそんなんじゃねーよ」
「じゃ、何なのよ?私には相談できないこと?」
相談とか、そういう類のものじゃない気がする。
「俺、購買行ってパン買って来る」
俺は美佳から逃げるように教室を出た。
「ちょっと!夕斗!」
今は、俺もよく分からないんだ。