◆兄貴の彼女◆
俺はパンを買った後、屋上に足を向けた。
――ギィィィ。
屋上には、数名の生徒がいて、あちこちで昼休みを迎えていた。
俺はいくつもあるベンチに寝転がり、パンを頬張る。
……ハァ、なんかまだモヤモヤするんだけど。
俺はふと、目線を横に向ける。
俺の3つ離れたベンチに、藤沢が座っていた。
俺は、とっさに起き上がる。
「藤沢……」
俺自身では小さい声で言ったつもりだったんだけど、すぐその声に藤沢は反応して、俺を見た。
「あ……神崎君」
藤沢は、広げていた弁当箱を急いで片づけ、俺に近づいてきた。
うそ……こっち来る。
どうする?俺。
考えてる暇もなく、藤沢は俺の近くまでやってきた。