◆兄貴の彼女◆
「あのペンダントも……兄貴から?」
藤沢は少し黙って、小さく頷き、そして。
「私と神崎先生は……ううん。何でもない」
何だよ。
私と神崎先生は……なんだよ。
俺の知らない兄貴を藤沢は知っている。
教えてくれ。
「なんだよ?俺、何聞いても驚かないから」
「……神崎君は弟さんだもんね……」
意味不明な事を言って、また俺を見て言った。
「神崎先生と私は、付き合っていたの」
なんとなく、あのペンダントの事があって予想はしていたから、あまり驚きはない。
けど。
何とも言えない感情が俺の中で熱く燃え上がった。
藤沢が、兄貴の彼女。