◆兄貴の彼女◆
【5章】「別れ」と「出会い」
その日の夜、美佳が俺の家に訪ねてきた。
――ピンポーン
「はーい!……あ、美佳じゃないか」
「夕斗いる?」
「いるけど、上がってく?」
隼人は、美佳を家に上げた。
――コンコン
「はい」
「美佳、来てるぞ。お前に用があるんだと」
「……美佳が?」
俺はドアを開けて、美佳と隼人の存在を確認する。
「何?どうしたんだよ」
「どうしたんだよじゃないわよ。ちょっと聞きたい事があるの。入っていい?」
「いいけど」
俺は美佳を部屋へ入れる。
隼人は黙って自分の部屋に戻って行った。
美佳のやつ、怒ってんのか?
「今日の昼間、購買行った後何で2時間も授業サボったの?」
「それを聞きに来たのか?」
「その後は体育で別だったし、帰りもスタスタ帰っていくし」
「何でわざわざ聞くんだよ。俺だってなサボりたい時はあんだよ」
藤沢の事を話す必要は今はない。
そう思ったから話さなかった。
「そう。だったら何も言わないわ。ねぇ、明後日の土曜日なんだけど、買い物あるから付き合ってくれない?」
「悪い、土曜日は親父に留守頼まれてるから家出られない」
「……そうなんだ。ならいい」
美佳はそういうと、スタスタ帰って行った。
「……ハァ」
溜息をついて、ベッドに横になる。
その時ドアから隼人が姿を見せる。