◆兄貴の彼女◆
「なんだよ」
「最近お前変だぞ?」
「は?」
「って美佳が言ってた」
隼人は溜息交じりで俺に話す。
「美佳がそんな事言ってたから何なんだよ?」
「親父、明日は留守なんて頼んでないと思うけど?」
「お前、美佳に何か言ったのか?」
隼人には話してもいいものなのか。
隼人は家族だし、兄貴の事だし。
けど……。
俺が悩んでいると。
「俺は何も言ってないし詮索はしない。けど、嘘はあまりよくないと思う。美佳だって、お前が心配でそう言ってんだ。少しは分かってやれ」
「ああ」
なんだか、隼人は説得力あるよな。
あいつに何か言われるとドキッとする。
まぁ、美佳には悪いと思っている。
でももう少し……もう少しだけ待って欲しいんだ。
必ず話す時はくるんだから。