◆兄貴の彼女◆
藤沢と別れ、俺は家路に着く。
なんか、今日はよく眠れそうだ。
そろそろ、隼人や親父……そして美佳にも話しておかないとな。
兄貴と藤沢の事。
「ただいま」
「おかえり」
出迎えたのは隼人。
「なんだよ?」
何か言いたそうな顔だ。
「美佳、3時間くらい待ってるぞ」
「え……」
美佳にはウソをついたまま。
絶対に怒ってるよな。
「じゃ、俺はコンビニ行って来るから。あと、親父はいないから」
「は?おい隼人!ちょっと待てって!」
――――バタン!
「なんだよ、あいつ」
俺は、渋々リビングに向かった。
「おかえり、夕斗」
「あ…ああ、ただいま」
美佳は、ソファーに腰掛けたまま俺に言った。
「留守番は?しなくてよくなったの?」
「まぁ、な」
「どこ行ってたの?」
「それは……」
言うなら、今このタイミング。
「私は別に夕斗の彼女じゃないから、こんな事言うの変だけど……夕斗が心配なの」
「え?心配って……俺、お前になにか心配かけるような事、したのか?」
「藤沢、千鶴」
名前を聞いた瞬間。
心臓がうるさくなる。
「彼女、いったい何?どうして、夕斗が一緒にいるの?」
「お前……見てたのか?」