◆兄貴の彼女◆
「たまたま通りかかった公園、夕斗と藤沢さんが一緒にお兄さんのお墓に行くのが見えたの」
「そっか……」
「あの日の昼休みも……本当は藤沢さんと居たよね?私、屋上行ったんだよ」
「……いたよ」
このまま黙ってても始まらないしな。
「隼人が帰ってきてから話すよ。それでいいだろ?隼人にも、聞いてほしいから」
「わかったわ」
俺達は、会話もなくただ黙ってソファーに座っていた。
聞こえてくるのは、時計が進む音だけ。
これで、隼人や美佳がわかってくれれば……一緒に協力してくれれば……。
これは、俺の甘い考えだったんだ。