◆兄貴の彼女◆
美佳は、俺が出て行った後、泣きながら立ち尽くしていた。
「私、泣いちゃってバカみたい」
隼人は、それを何も言わずに見つめる。
「なんか、隼人にもひどい事言っちゃったような気がする。ごめん」
「俺の事はいいよ」
「私、夕斗がこんなにも好きなんだね」
美佳の声はさらに震える。
「夕斗、傷つけちゃったかな?私……それでも夕斗が好きなの」
隼人は何も言わずに、美佳の頭を自分の胸にもっていき、「大丈夫」と優しく頭を撫でた。