◆兄貴の彼女◆
【7章】真実と後悔、そして決意
「ただいま」
家はやけに静かで、出て来たのは隼人だった。
「おかえり」
「何?隼人一人?」
「母さん、さっき戻ってきてパリに行った。父さんと」
「パリ?」
うちの両親は結構出張が多い。
母さんはもともと忙しいからなかなか家に帰ってこないけど。
「教育研修プロジェクトの一環だとさ」
「へぇ、戻りは?」
「1ヶ月くらいとか言ってた」
それまで隼人と2人か。
兄貴が居たらな。3人だったのに。
ふと兄貴の事を考えると、その次に浮かんでくるのは藤沢。
俺、結構やばいかも。
「何?……美佳となんかあったのか?」
「は?」
隼人は鋭い。