◆兄貴の彼女◆
「あ、告白か?告白されたんだな?」
「なんだよお前、その顔。このまま知らない夕斗にならないで……って言われたよ」
「ふーん」
「……俺って、変わったのか?」
隼人とこんな会話するのも変だけど、なんか今はちょっと気になった。
「人って、変わる人もいれば変わらない人もいるんじゃないの?」
「…………」
そして以外な答えが返ってくる。
「けど俺は、お前は変わってないと思うよ?」
「え?」
「お前は、俺と違ってバカ正直なんだよなぁ」
「バカって何だ、バカって」
隼人はコップにお茶を注ぎながら話を続ける。
「正直すぎるって事。今まで、こういう事がなかったからそんな気持ちが出てこなかっただけで、本当は素直だった自分に気付いただけじゃないの?それは、変わったとは言わない」
本当の自分に……気付いた。か……。
「俺も正直、驚いたよ。兄貴に彼女が居て、千鶴ちゃん?だっけ?、しかもそれが教え子で、しかもしかもお前のクラスに転校してきて、お前と仲良くなってたなんてな」
「長いな」
「美佳はお前の事が好きだから、心配なんだろ」
「ハァ……よくわからねぇよ俺」
「美佳だって、そういうお前を初めて見て「変わった」って思ったんだろ。美佳もいつかは分かるさ」
珍しく、俺の味方か?
けど、少しは楽になったかも。
「サンキューな」
「……気持ち悪いんだけど?」
「素直に受け取れってーの。あと、お前が千鶴ちゃんとか言うと、気にくわねーんだけど。じゃ」
俺は部屋へ向かった。
「……うん。恋だね、ありゃ」