◆兄貴の彼女◆
【8章】俺と藤沢の関係
あの日から、半年がたつ。
今は学校の帰り、河川敷を歩く。
そして、寒くなり始めた秋空の下、美佳が俺に言い寄る。
「は?旅行だ?夏休みじゃないんだし」
「……藤沢さんと買い物には行くくせに」
「買い物なら、いくらでも付き合ってやるよ。だいたい、俺と藤沢は別にお前が思っているような関係じゃないし」
「半年前、告白したんでしょ?」
「あれは告白じゃない。また隼人が変なこと言ったんだな?」
「隼人は関係ない!今は、夕斗に聞いてるの!」
ハァ。
最近、溜息ばかりだ。
俺はこの半年間、藤沢と結構過ごした。
一緒に買い物や映画、兄貴の話とかで公園でほとんど毎日盛り上がったり。
夏休みは、藤沢から勉強教わったり。
けど藤沢は、俺の知らないところでたまに泣いていたりしてるみたいだった。
これは、隼人いわく。
買い物帰りに公園で1人でいるのをよく見かけてたみたい。
あまり、頼られてない?俺。
けど、最近周りからよく言われるのは、「お前ら付き合ってるの?」だ。
美佳や隼人も言うけど、「お前ら普通のカップルみたいだぞ」って。
けど、俺と藤沢の関係は半年前と変わらずで、親友?のまま。
きっと、藤沢はそう思っている。
俺と藤沢の関係は、きっと誰も理解出来ない。
美佳は相変わらず俺と藤沢に嫉妬。
隼人は相変わらずドSっぷりで、半ばおちょくっている。
肝心な俺は、真剣に悩んでるってーのに。
だって俺、確実にこの半年で。
親友<好きな奴
になっているから。
別に否定はしない。
だって、本当の事だから。
けど、たまに2人で兄貴の墓に手を合わせに行った時だけ。
好きな奴<兄貴の彼女
ってなる。
俺は出来れば……この一線を越えたいって思ってる。
ダメだなー俺。
そうなれば、俺が藤沢としてきた事、下心アリアリじゃねーかよ。
けど兄貴。
想いは伝えられなくても、このまま藤沢を好きでいること許してくれるかな?