◆兄貴の彼女◆
「夕斗は?好きな人……いるの?」
「……お前、何言って……」
「いるの?!……いるなら私、諦めるよ」
さっきまで見れてた藤沢の顔が見れない。
美佳は知ってか知らずか、挑発な発言。
俺を、試しているのか。
俺に……俺にどうしろって。
しばし、沈黙が流れて……沈黙を破ったのは。
「質問、いいかな?」
隼人だ。
「何隼人?今真剣な話ししてるんだよ?邪魔しないで!」
美佳は隼人にそう言った。
「いや、俺も真剣に質問したいんだけど……これって告白タイムなの?」
「はぁ?お前まで何言ってんだ」
「俺は、美佳が好きだ」
隼人の気持ちは前々から知っていたけど、この状況で普通に言える隼人に驚いた。
美佳はもっとだ。
「な、何いってるのよ!冗談でしょ?!今はそんな話し……」
「だから、真剣だって。まぁ、美佳が他の男と付き合うなら俺は諦める」
「ちょっと待てよお前ら、さっきから何勝手に話し進めてんだよ!」
藤沢は今どんな顔してるんだ?
怖くて見れない。
「あ、あの……」
そう思っていたら藤沢が呟く。
「私、お邪魔じゃないかなって思うんですけど……」
「邪魔じゃないよ。ここにいて」
美佳はすかさず言った。
「隼人、隼人の気持ちはびっくりだったけど、私は夕斗が好きなの。ごめんなさい」
美佳は、あえてか?冷静に隼人の告白を断る。
「ん。わかった」
お前もそれでいいのかよ!なんて、突っ込んでみる。
「さぁ夕斗、答えて」
「い、いや……俺は」
何なんだよこの状況。
告白っていうシチュエーションでもないだろ。
そしてふと、昨日の隼人の話を思い出す。