◆兄貴の彼女◆
【10章】合コン
気まずい雰囲気のまま学校が終わった。
藤沢とも美佳とも、一言も話していない。
ハァ、帰ろう。
「夕斗ー!」
クラスのやつに呼ばれて、俺は立ち止まる。
「何?」
「なんだよ暗いな!……フフフ、今日こそは付き合ってもらうぜ!合同コンパという名の、パラダイスへ!」
ああ、合コンの誘いか。
「……別に、いいけど」
「なんだよー。またお断りかよー……ん?はぁ?!何お前、熱あんの?!」
「はぁ?誘っておいてなんだよ。なら、行かない」
「あー!ウソウソ!冗談!お願いします。夕斗様~!」
ふざけて言うコイツになんだか笑えてきた。
俺はたぶんモヤモヤした気持ちが嫌だった。
こんな風にたまには友達とワイワイするものいいかなって。
気持ちも晴れるかなって……そう思ったんだ。
「なら、さっそく出発!合コンというなのパラダイスへ!」
「バカかお前は」
気持ち、晴れる……よな。