◆兄貴の彼女◆
「えー?!誰?誰?夕斗君のお兄さんってー!」
愛が聞いてきた。
「あー!……神崎先生じゃない?」
ずっと黙っていた奈々が叫ぶ。
俺は少し怖かった。
兄貴の話になると……自然と藤沢の話しが出てくるんじゃないかって。
いじめられてた藤沢の話し。
俺、何で気がつかなかったんだ。
この女子達が来ている制服。
お墓で会ったときに、藤沢が来てた制服と、同じじゃないかよ。
「夕斗、わりぃ」
大和が小さな声で誤ってきた。
「別にいいって……」
俺もそんな事言ったけど、この先どんな会話になるのか。
「そういえば、似てるね!」
愛がそう言ってくる。
「そうかな?俺、兄貴には似てないって言われるけど」
普通に、普通に。
けど。
「ねぇ、この話しやめよう」
意外に、桜がそう言った。
「あ…ごめん桜。桜、神崎先生の事好きだったもんね……」
一気に重たい空気。
なんか、重たいけど……助かった、感じ?
「はい!はい!暗い!じゃー、次はなんの話しする?」
さすが卓也、場の雰囲気を変える。
そして合コンは、兄貴の話から、彼氏の話し、恋愛の話し、と時間が過ぎた。
そろそろ合コンも終わりに近づいた。