17ぱれっと、
肩車をしてもらい、上に上がると空を飛べそうな感じがする。
ふわ、って。でも飛べないのが人間だ。
あたしは天使じゃない。
「蒼以、早く俺も引っ張れ」
「ごめんごめん」
頼とここに座るのは何度目だろう。
高校に入ってから何度もここに上がっては誰にも言えない話をした。
その度、頼は何も言わずあたしの話を聞いて。
最後にたった一言、「大丈夫」って言う。
いつもはふざけてて賭け事大好きな裏番のくせに。

「歩は旬斗のことがすきなの」
横を向いて精一杯の笑顔。
「まだ決まった訳じゃないけど。でも見てると分かるんだ」
「でも旬斗は、今でも」
「言わないで」
目に涙が溜まっているのが分かる。
頼の顔が見えなくなる。
「分かってるよ?ずるい終わり方なのも分かってる」
「だったらちゃんと・・・」
「旬斗もあたしも悪くない」
涙が頬を伝わぬように寝転がると案の定、目か涙が零れた。
「噂を信じたあたしも悪いし」
「それを否定しなかった旬斗も悪い」
「・・・旬斗のこと考えてやれよ」
「どうして?」
起き上がると、日差しが直に当たって頼の目が茶色くなる。
その目に、全部を見透かされそう。
「お前が旬斗を曖昧に振ったあの日から旬斗はお前の近くでずっとお前の恋を見てた。お前が年上の彼氏が出来て喜んでた姿も、さっき別れて鼻が赤くなって、泣いたんだろうなって姿も・・・全部」

言わないで欲しい。
でも声が出ない。
それは一番分かってる。
あなたに言ってほしくないよ、頼。

「旬斗は今でもお前が好きだ。中2のときからずっと・・・」










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