17ぱれっと、
思い返せば、それは中2の時だった。
中1でクラスが一緒になって以来、ずっと仲良しのあたし達の空気が少し変わったのは夏休み直前のこと。
みんなで今日あったことを話している帰り道、旬斗が言った。
「あおいに、はなしある」
ぎこちない顔をして、あたしが旬斗に言う。
「どうしたの?」
「・・・お前らは先帰って。また明日」
「え?ちょっと待ってっ、」
手を握られ、やっと気づいたんだ。
いつもと違う君。いつもと違う帰り道。

それは中学生になら誰でもある告白。
たった一言、あたしは旬斗に言われた。
「好きだから」。
だから何って思ったのは事実だけど。
返事も特にしなく、次の日からはいつも通りの毎日で。
みんなで花火を見に行ったり、お祭りに行ったり。
告白のことなんか忘れそうになっていた日。

「蒼以」
「なにー」
旬斗の部活終わり、二人で帰る道。
立ち止まった君に振り返ったときだった。

気がついたらあいつの顔が重なっていて。
ドラマとかでよく見る、アレだ。

でも何で旬斗が?
気づいたときにはあたしは旬斗にこう言った。
「・・・っ、やめて!」
「いっでぇ・・・」
旬斗を突き飛ばして、あたしは泣きながら家に帰った。
後ろから走って追いかけて来た気がするけど、
立ち止まる気は全く無かった。

家に入って一目散に洗面台へ走ると、
唇から血が出ていることに気づいた。
でも痛くはなかったの。
そんなことより、ショックの方が大きかった。








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