カラダから始まる恋ってありますか?
運転席に乗り込んできたジュンに「いいよ。タクシーで帰るから」と言ったけど
「いいよ。遠慮するなって。送るぐらいいいだろう?
それに、もう、こんな風に会う事もないと思うしさ。一度だけ。なっ?」
まるで、あの頃みたいな笑顔で笑われて、あたしは「分かった…じゃあ、お願いします」とペコリと頭を下げた。
雨は、止むどころかドンドンと激しさを増していき
フロントガラスの向こう側では、ワイパー雨粒を飛ばしながらが忙しそうに働いている。
昔の洋楽がかかる車の中は静かで、時々聴こえてくるジュンの歌声が懐かしくて…切なくもあり。
複雑な感情が、あたしの中で蠢くのを感じた。