カラダから始まる恋ってありますか?
悲しいキス
「ここ、あたしのアパート」
程なくして着いたアパートの前に車を停めたジュン。
あたしは「ありがとう」を告げると、ジュンの顔を見ないままシートベルトを外した。
「じゃあね」とドアを開けようとした時「待って」と切ない声が聞こえてきて
腕をガシッと掴まれたと思った瞬間
体ごとグイッと引き寄せられて、そのまま
「うぅ…!?」
キス…された。
「ちょっと!?やっ!」
ジタバタともがいて、ようやく離された唇には、ジュンから逃れる為に噛みついた時に少し切れた唇から滲んだ血の味がした。
「ヤダよ…こんなの…ヤダよ…」
唇抑えて、溢れ出す涙をこらえきれなくて、見つめたジュンの瞳は悲しい色に染っていた。
「ごめん…」という言葉をサヨナラの別れの言葉に代えたジュンから逃れるようにドアを開けて、車を降りてドアを閉めるとバシャバシャとアパートへ駆け出し
しばらくして動き出したジュンの車は、雨の中に静かに、その姿を消していった。