カラダから始まる恋ってありますか?
【裕介side】
「じゃあ、本当にいいんだな?」
翌日の月曜日の朝。俺はミーティングルームで課長にミラノ行きを決心した事を伝えた。
「はい。よろしくお願いします」
「分かった。出発は1ヶ月後だ。それまで間に合うように準備を進めておいてくれよ」
“期待している”と満面の笑みで俺の両肩をバンと叩いた。
「はい」
もう…後戻りはできない。
俺は、俺自身の手で未来を切り開いていく。
「藤木、決めたんだって?」
市川さんが、ニカッと笑うと缶コーヒーを「ほら、お祝いだ」とポイッと投げた。
綺麗な放物線を描きながらこっちに来る缶コーヒーを受け取り
「ありがとうございます」
プルタグを開けて、市川さんが持っていた缶コーヒーとカンと乾杯して一気に飲み干した。