カラダから始まる恋ってありますか?
「愛美ちゃんは、なんだって?」
ミーティングルームの窓から外を眺めながら話す市川さんの隣で同じように窓から見える景色を眺める。
「待っていてくれると言ってくれました」
昨日の愛美の「あたし…待ってる」と囁いた声が、切ないぐらいにまだ耳に残っている。
「そっかぁ。良かったじゃないか」
「はい…」
苦笑いで応える俺の背中を「まぁ、気合い入れていけ」とバンと叩いた市川さんは
「あと1ヶ月、もっとシゴイテやるから、覚悟しとけよ」
ニヤリと笑ってミーティングルームを去っていった。
“覚悟しとけよ”か…。
市川さんなりの叱咤激励に背筋をピンと伸ばして気合いを入れ直した俺はとミーティングルームを後にして、目の前のやるべき仕事に集中した。