カラダから始まる恋ってありますか?
【愛美side】
いつしか、暑かった夏も、もうそろそろ終わりを告げようとする涼しげな風が吹く夕暮れ時。
あたしは、裕介さんと最高の想い出を作る為に、裕介さんがいないキッチンでオムライスと格闘していた。
明日は、裕介さんはイタリアに旅立ってしまう。
その前に、どうしても想い出を作りたかった。
イタリア行きが決まってから、これまで以上に裕介さんの仕事は忙しくなり
会える時間は少なくなっていった。
寂しくないなんて聞かれたら、寂しいに決まってる。
離れたくないし、もっと一緒にいたいに決まってる。
だけど…辛いのは裕介さんも同じだから。
裕介さんは、前に向かって歩いてる。
あたしも…裕介さんに負けないように、前を向いて歩いていきたい。
そう決めたから。裕介さんに「待ってる」と言った日から、そう決めたから。
あたしは、あたしで裕介さんを待つために、前に進むんだ。