白い手-黒い眼
~仲間外れ2~

悠の事は暁に任せるとして、遅くなってしまった奈木は急いで帰路についた。

あっという間の出来事だったが、子どもに戻った気分になれて、嫌な気はしなかった。

『ま、実際まだ子どもだけどね。』

家までの道のり、それほど長くないが、人気が無いのが問題だと奈木は思っていた。

『ま、このご時世、あり得ないよなぁ…』

後ろから足音が聞こえる。

『ま…まさかなぁ…』

後ろを向くと…誰もいない。

『え~…オカルトの類いかよ…』

幽霊か何かだと思われるが…

『…んなわけない!!足音してるしっ!!』

とりあえず、逃げることにした。

『冗談じゃない…ストーカー!?』

足音は遠ざかることなく、一定の距離を保っているように聞こえる。

『どうしよ…どうしようっ!!』

今までに無いくらい焦っていた。

『どうにかして、後ろ確認しなきゃ…』

しばらく行くと、カーブミラーがあった。奈木は自分の後ろを鏡越しに見るやいなや、血の気が引いた。

『手が…赤い…』

見間違えるはずがない。それは赤く滴る血液にしか見えなかった。
奈木の足は自然と止まる。
今朝見たニュースが頭を過る。

『…どうすれば…』

足音は止まない。

『…止まらない…』

後ろにいるのは男だと分かった。
その男の口が笑った。

『…え…』

腰が抜けると共に目眩がした。

『この感じ…嫌な感覚っ…』

すぐ後ろまで近づいて来たのか、気配が強まった。

『頭が…痛い…』

意識が遠くなると共に、目の前が暗くなった。


「っ…!?先輩!!」


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