reverse【完】
そもそも

エミも何が楽しいのか分からない


彼女もいい大人だ


抱かないといった俺
その意思は、あれから一カ月経っても変わらずに貫いている


エミを前にしても
何も感じない俺がこの関係を続けているのは


エミに対しての責任と
この家族を守るために過ぎないのに…


彼女自身、俺が好きだとはいえ
こんな関係に執着する必要はないと思う


人気があるエミだ
本気になればエミを大事にしてくれる男の一人や二人いそうなものなのに・・・



「……はぁ」



きょう二回目の溜息をつき
ふと時計を見ると午前2時になろうとしていた



カチャと、リビングのドアが開く音がした
視線を向けると
寝ぼけ眼をこすりながら入ってきた美咲がいた


「…お帰り。ごめんね、起きてられなくて」


「いや…。こっちこそごめんな。早く帰ってこれなくて」


「うんん。家のことは心配しないで。何か…食べる?」


「いや…。会社で軽く食べたし、胃が重くなる」


「ふふっ。年取った証拠だね」


そう言って笑う美咲に
頬が緩む


「美咲のご飯をチビらと食いたいな~」

「あの子たちも言ってる。パパがいなくてさみしいねって」


ズキズキする心

言い知れぬ罪悪感を隠して笑う俺は


いつからこんなに嘘が上手になった…?











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