reverse【完】
いつものように
エミと食事をした後

車でエミのアパートの前まで送り届けた


普段は直ぐに車から降りるのに
その日は一向に降りようとしない


「……どうした?」


「………」


そう尋ねても、口を開かず、降りようとしないエミ


意味が分からず、前を見たままエミの口が開くのを待った


「課長…」


「……何?」


「少しでも…私を好きになってくれましたか?」




愚問だ


「……ごめん」


「そうですか…しぶといですね」


横目で見たエミは
前を見据えたまま、口元を歪ませていた


「本当に奥さん一筋なんですね」


今更…何が言いたいのだろう


「でも…」


そこで黙ったエミに視線を向けると
エミもまっすぐに俺を見ていた











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