reverse【完】
◆◆◆
「…なんで」
絞り出した声はなんとも情けなく掠れていた
顔を上げた美咲は
まっすぐに俺を見つめた
怒りでも、落胆でも
俺を責める目でもない
覚悟を決めた…そんな目
「……もういいよね?」
「な…なにが…」
「私…頑張らなくても」
「……美咲」
自分の仕出かしたことにも、美咲がこれから何を言おうとしているかも、何も考えたくないと脳が拒否している
そんな頭の中で
面と向かって『美咲』と呼んだのはいつ振りだろうと、決意を込めた美咲の目を前にしても、そんなことを考えてしまった俺は、エミが言っていたように、逃げてるだけの自分が可愛いダメな男なんだと思う
「あなたに嘘を吐かせるのも、あなたの嘘を気付かないふりするのも…限界なんだ」
なぜ美咲が知っているのか…
そんなことは今はどうでもいいのかもしれない
エミとの関係を言わなきゃいけないと…
なぜ嘘をついたのか
エミに気持ちが移ったことなんてない。俺には美咲しかいないんだ。後伸ばしにしてしまったけど、きちんと話さなきゃいけないと思った
「美咲…俺は」
「その人に本気じゃないのも分かってる」
「だったら…「でも!」」
考え直して…そう言おうとした
話を聞いて…そう言おうとした
「本気じゃなくても、つき離せないのも分かってる」
エミとの関係…美咲がどういう風に知っているのかは分からない
でも…美咲は知っているんだ
「あなたの事は、私が一番知ってるから」
自分が一番の、情けない俺だということを…
そんな俺だと知っていて、ずっと傍にいてくれていたんだと…
絞り出した声はなんとも情けなく掠れていた
顔を上げた美咲は
まっすぐに俺を見つめた
怒りでも、落胆でも
俺を責める目でもない
覚悟を決めた…そんな目
「……もういいよね?」
「な…なにが…」
「私…頑張らなくても」
「……美咲」
自分の仕出かしたことにも、美咲がこれから何を言おうとしているかも、何も考えたくないと脳が拒否している
そんな頭の中で
面と向かって『美咲』と呼んだのはいつ振りだろうと、決意を込めた美咲の目を前にしても、そんなことを考えてしまった俺は、エミが言っていたように、逃げてるだけの自分が可愛いダメな男なんだと思う
「あなたに嘘を吐かせるのも、あなたの嘘を気付かないふりするのも…限界なんだ」
なぜ美咲が知っているのか…
そんなことは今はどうでもいいのかもしれない
エミとの関係を言わなきゃいけないと…
なぜ嘘をついたのか
エミに気持ちが移ったことなんてない。俺には美咲しかいないんだ。後伸ばしにしてしまったけど、きちんと話さなきゃいけないと思った
「美咲…俺は」
「その人に本気じゃないのも分かってる」
「だったら…「でも!」」
考え直して…そう言おうとした
話を聞いて…そう言おうとした
「本気じゃなくても、つき離せないのも分かってる」
エミとの関係…美咲がどういう風に知っているのかは分からない
でも…美咲は知っているんだ
「あなたの事は、私が一番知ってるから」
自分が一番の、情けない俺だということを…
そんな俺だと知っていて、ずっと傍にいてくれていたんだと…