イタズラな運命。
溜め息を吐いて俺はケンや栞が見ているのに、杏の手を握った。
杏の傍から離れると他の男達が杏に言い寄りそうだし…。
……今日ぐらい、彼氏面(づら)してもいいよな?
「…杏、あんまり可愛くなるなよ?」
「……え?」
「俺……耐えきれたいかも」
今が、夜で良かった…。
周りには明かりなくて暗いから俺達の顔がよく見えない。
だから俺が顔を赤くしても杏にはバレない…。
でも、杏も顔を赤く染めてたなんて……俺には予想もしなかった。