憂鬱な午後3時
俺は、失礼しました…と言って帰ろうと、ドアを開けようとしたその時。

「待って…」
後ろから、女性の声が聞こえたと思うと、すぐに俺の傍まで寄って来る。

「これも何かの縁だわ、今日は特別にサービスしてあげるから、食べてって」

羽月さんは、俺がドアを掴んでた手を優しく離す指先が、異常に冷たかった。

「でも…今日は、余りお金持って来てないんですよ」

俺は、遠慮がちに答えた後…財布の中身を調べた。

1000札1枚だけ何とか入っていたが…。

羽月さんは、フフッ…と優しく微笑み返すと「遠慮しなくても、今日は私のおごりよ。」

ねぇ…愁壱(しゅういち)さん、いいわよね?と聞くと、今日だけならね…と、グラスを拭きながら微笑む。


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